今井ゆみ X IMAIYUMI

多摩美術大学 絵画科日本画専攻 卒業。美大卒業後、広告イベント会社、看板、印刷会社などで勤務しながらMacによるデザイン技術を習得。現在、日本画出身の異色デザイナーとして、日本画家、グラフィック&WEBデザイナーなど多方面でアーティスト活動中。

悪夢のはじまり

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女医は、ゆみに向かってそう言うと、何かものすごく熱のある熱いものを、ゆみのお尻、右側のお尻に押しつけられた。

「ぎゃあああああああああああああ!」

ゆみは、その熱さと痛みに叫び声をあげると、そのまま気絶してしまった。

「ゆみちゃん!」

あまりのゆみの悲鳴に、お母さんは立ち上がって、ゆみのすぐ側まで駆け寄ろうとした。が、お母さんの身体も、両サイドから別の看護師に抑えつけれているので、ゆみのところには行けなかった。

そうしているうちに、お母さんの目の前にいる女医も、ゆみに押し当てた女医が持っているものと同じ何かものすごく熱のある熱いものを、お母さんの左腕、上腕部に押しつけた。

「ぎゃあああああああああああああ!」

あまりの熱さと痛みに、大人のお母さんも悲鳴をあげて気絶してしまった。

気絶したお母さんの左腕にしばらく熱いものを押し当てていた女医が、

「もう大丈夫かな」

と、お母さんの腕から熱いものを離した。お母さんの左腕には、熱さで出来たのかわからないが、アザのような模様が付いていた。

「先生、OKですか?」

お母さんの左腕を確認していた女医に、左右についていた看護師が訪ねると、女医は黙って大きく頷いた。

「それでは、移動します」

両サイドの看護師は、お母さんの身体を抱き上げると、そのままベッドの方に移動した。ベッドには、気絶しているゆみがうつ伏せに横になっていた。

ゆみの側にいた看護師たちが、逆に気絶しているゆみのことを両サイドから抱き上げて、奥の今までお母さんのいた方の診察場所に移動して、女医の前の椅子にもたせ掛けた。

ゆみが移動し、空いたベッドの上に、お母さんが寝かせられた。ベッドの脇にいた女医は、今度はお母さんの履いているズボンを脱がすと、またお母さんのお尻右側にも、熱いものを押し付けた。

「ぎゃあああああああああああああ!」

気絶していたお母さんだったが、あまりの熱さと痛みに思わず叫び声を上げた。そして、そのまままた気絶してしまった。

一方、奥の診察スペースに連れてこられたゆみは、そちらにいた女医に着ている服の左袖をめくられ、お母さんと同じように左上腕部に熱いものを押し付けられた。

ゆみの方は、完全に気を失ってしまっているようで、熱さと痛さに体が少しビクンと動いたが、悲鳴は上げずに気を失ったままの状態だった。

ベッドの方の女医は、お母さんのお尻に熱いものをうまく押し当てられたことを確認すると、手に持っていた熱いものをティッシュに包んで医療用廃棄箱に捨ててしまった。

「診察終わりです。大丈夫です、次の方をお願いします」

女医は、看護師に指示した。

「先生、今井さんは?」

看護師が、ベッドに気絶し寝ているお母さんのことを指して、女医に聞いた。

「もしもし、診察終わりましたよ」

女医は、ベッドのお母さんのことを揺り動かした。お母さんは、女医に揺り動かされて、目を覚まして、起き上がった。

「診察終わりましたよ。もう服を着てもいいですよ」

女医に言われて、お母さんは自分の下半身を確認して、履いていたズボンが膝の辺りまで降ろされているのに気づき、慌てて履きなおした。

「診察終わりましたので、娘さんも服を着させてあげて、奥の扉から外に出て、表に停まっているバスで待機していてください」

服を着終わったお母さんに、女医が声をかけた。

お母さんは、奥の診察デスクにズボンを降ろされ、左腕の袖をめくられたまま、気を失っているゆみの姿に気づいた。気絶しているゆみは、既に左腕に熱いものを押し当てられた後のようで、ゆみの左腕にはアザのようなものがしっかり付いていた。

お母さんは、ゆみの姿を確認すると、急いでゆみの側に行き、脱がされているゆみの服を着なおさせた。

「大丈夫ですか。それじゃ、次の診察の方が待っていますので、奥の扉から表に出て、表に停まっているバスの中で待機していてください」

服を着せてやったゆみのことを抱き上げ、荷物も持っているお母さんに、女医が言った。

「あのぅ、これは、いったい何なんですか?健康診断ではないですよね。説明してください」

お母さんは、ゆみを抱きかかえながら、目の前の女医のことを問いただした。

「説明は、表のバスでありますから。とりあえず、そちらに移動してください」

女医は、お母さんの質問には一切答えず、奥へ移動するように指図した。奥の扉は、看護師たちによって開かれて、ここから出るようにと看護師たちにも催促された。

お母さんは、仕方なくゆみを抱き、荷物を腕にぶら下げて、奥の扉から表に出た。お母さんの背後では、次の順番の人が診察室に入ってくる声と足音がしていたが、看護師がドアを閉めると、その声は、お母さんのところまでは聞こえなくなった。

大型観光バスにつづく

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