今井ゆみ X IMAIYUMI

多摩美術大学 絵画科日本画専攻 卒業。美大卒業後、広告イベント会社、看板、印刷会社などで勤務しながらMacによるデザイン技術を習得。現在、日本画出身の異色デザイナーとして、日本画家、グラフィック&WEBデザイナーなど多方面でアーティスト活動中。

サーシャを救え

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「え、なに!?」

コスモタイガー隊の先頭でコスモタイガー機を操縦していた祥恵は、自分の真横をすり抜けて、暗黒星雲の星のゲートの入り口から真っ先に飛びこんでいくコスモタイガーの姿を発見して叫んだ。

「ゆみ、あんたね・・」

思わず祥恵は、そのコスモタイガーに向かって叫んだ。

それは、ピンク色の機体をしたコスモタイガーだった。ゆみが宇宙戦士訓練学校の卒業時に、最優秀生のご褒美として塗装してもらった機体だ。

「お姉ちゃん、道わからないでしょう。あたしについてきて」

ゆみは、祥恵に向かって言うと、そのまま自分が先頭で暗黒星雲の星の中に突っ込んでいく。

「まったく、ゆみったら」

祥恵は、仕方なく先頭を飛んでいくゆみの機体の後ろについて飛んでいた。

「どうせ、この通路って一本道じゃない」

祥恵は、通路の中を突き進みながら、一人言をつぶやいていた。通路は、ずっと一本道なのだ。道がわからないもなにもない。まっすぐに進むしかないだろう。

しばらく飛んでいくと、通路は左右に別れていた。

「正面、二方向に別れていますね」

後ろを飛んでいる坂本機も気づいて、祥恵に話しかけてきた。

「ええ、さて、どっちだろう?最悪の場合、二手に別れて、あなたたちは右に行って、私たちは左に進むから」

「了解です」

祥恵は、坂本機に答えた。しかし、コスモタイガー隊が二手に別れることはなかった。一番先頭で、一番最初に分かれ道にたどり着いたゆみのコスモタイガーが、その場で待機していて、後から来た祥恵たちのコスモタイガーに向かって右に行けと指図していたのだった。

「右、行きましょう!」

祥恵は、ゆみの指示通りに、坂本たちの機体を引き連れて右方向に旋回し、進んでいった。

「お姉ちゃん、この先は、もうずっと一本道だから、そのまま中心まで進んでいって、道を開けたら、反対側の出口まで進んでいって!」

ゆみは、祥恵の機体に向かって、無線で呼びかけた。

「わかった。進むしかないわね」

祥恵は、ゆみに指示された通りに、突き進んでいく。

「しかし、なんで、ゆみちゃんは道を知っているんでしょうね?ゆみちゃんだって、この星に来るのは初めてのはずなのに」

お蝶婦人が、祥恵に言った。

「わからない。でも、今は、ゆみの不思議な力を信じましょう」

祥恵は答えた。

ゆみは、全てのコスモタイガーが右方向に飛んでいくのを見届けるまで、ずっと分かれ道に止まって、道を誘導していた。

一番最後にやってきたのは、加藤四郎のコスモタイガー機だった。加藤も、ゆみが方向を指示したおかげで、道に迷うこと無く右方向に飛んでいった。

加藤四郎のコスモタイガーが飛んでいくのを無事見届けたゆみのピンクタイガーは、そのまま左方向に機体を反転させると、皆とは別に左方向に向かって上がっていった。加藤四郎機のバックミラーには、皆から離れて左方向に飛んでいくゆみ機の姿が写っていた。

「え、なんで彼女は向こうに飛んでいくんだろう?」

一瞬、加藤四郎は、後方に離れていくゆみ機を眺めながら、疑問に思っていたが、右方向に飛んでいる加藤四郎機にも通路の周りからは、たくさんの敵が攻撃してくる。敵の攻撃を避けながら、飛行するのに集中するしかない加藤四郎だった。

「サーシャ、待っていてね」

ゆみは、左方向にピンクタイガーを飛ばしながら思っていた。

「必ず迎えに行って、お母さんのスターシャさんのところに連れ帰ってあげるからね」

ゆみは、全速力でピンクタイガーのスピードを上げていく。ゆみのピンクタイガーは、艦載機の速度の常識をこえて飛んでいた。そのため、通路の周りから攻撃してくる敵も、そのスピードにうまく照準を合わせられず、撃てないでいた。

「あそこね」

ゆみが飛んでいく前方に四角い建物が見えた。ゆみは、目の前に見えている建物に自分のコスモタイガー機を突っ込んだ。衝撃で建物の壁が壊れ、その建物の床の上にピンクタイガーは着陸した。

「ゆみちゃん・・」

中にいたサーシャが、急に飛びこんできたゆみの姿に驚いていた。

「迎えに来たよ」

ゆみは、ピンクタイガーのコクピットのハッチを上げると、サーシャに向かって言った。

大脱出につづく

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