今井ゆみ X IMAIYUMI

多摩美術大学 絵画科日本画専攻 卒業。美大卒業後、広告イベント会社、看板、印刷会社などで勤務しながらMacによるデザイン技術を習得。現在、日本画出身の異色デザイナーとして、日本画家、グラフィック&WEBデザイナーなど多方面でアーティスト活動中。

なつかしのヤマト

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「あ、ここってヤマトの格納庫だよ!」

ゆみは、周りを見渡して思い出したように言った。

「確かに、ここはヤマトの格納庫だな!」

「ええ、ゆみちゃんの言うとおり、この場所はヤマトの格納庫ですよ。仮にヤマトの格納庫でないとしたら、ヤマトの格納庫に似せて作った倉庫ですよ」

ヤマトの乗組員たちも、ここがヤマトの格納庫らしいと気づいた。

「よし、ここがヤマトなのか、そうでないのかを確かめよう」

古代進は、そう言うと、ヤマトならば格納庫を出たところにあるはずの第二艦橋に向かうエレベーターに乗った。ほかの皆も、エレベーターに乗って上がっていく。

「エレベーターがあるということは、間違いなくヤマトと考えてもよさそうかな?」

「まあ、上に上がってみればわかるさ」

皆の乗るエレベーターが第二艦橋ぐらいのところまで上がって停まり、扉を開いた。エレベーターの扉が開くと、皆はエレベーターから降りて、周りを見渡した。

「ヤマトだ!」

「これは、間違いなくヤマトの第二艦橋だ!」

皆は、口々に叫んでいた。

「後ろの沖田艦長の肖像だってあるぞ」

第二艦橋の艦長席の後ろの壁面には、宇宙戦艦ヤマトの初代沖田艦長のレリーフが飾られていた。もう間違いなく、ここはヤマトの艦内であろう。

「いやあ、久しぶりだな。皆」

皆が第二艦橋の中を見渡していると、後ろの入り口が開いて、そこからヤマト技師の真田さんが入ってきた。

「真田さん!」

「真田さん、ここはヤマトの中なんですか?」

古代進は、入ってきた真田に聞いた。

「ああ、ここはヤマトの中だ。敵から見つからないように、この小惑星イカルスの中にドック入りして、いろいろと出航できるように整備しておいたんだ」

「それじゃ、これに乗って、いつでも出航できるんですか?」

「ああ、整備は万全だ。いつでも飛び立てる!」

真田が答えると、ヤマト乗組員たちは笑顔になった。

「あ、そうだ。出航する、その前にひとつ紹介しておこう」

真田が皆に言った。すると、第二艦橋の天井、第一艦橋から艦長席が下に向かって降りてきた。そこに誰か人が乗っていた。

「紹介しよう!宇宙戦艦ヤマトの新しい艦長だ!」

真田が、その艦長席ごと降りてきた新艦長を紹介した。沖田艦長がイスカンダル星までの旅をしてきて、その後、白色彗星との戦いの際には、土方艦長がヤマトの指揮をとり、その後は艦長不在のまま古代進が艦長代理としてやってきていた。

そして、今回からやっと新しい三代目の艦長が決まったようだ。

「兄さん!」

古代進が、降りてきた新艦長の姿をみて驚いた。

「進、久しぶりだな」

新艦長の古代守は、艦長席に腰掛けたまま、古代進に声をかけた。古代守の真横には、妻のスターシャの姿もあった。

「兄さん、真田さんと一緒にヤマトにいたのですか?」

「ああ、黙っていて悪かったな。地球政府、防衛軍からヤマトの整備は機密事項だったものでな」

「それで、月面基地からどっかに引っ越すって知らせてきたメールの、引っ越し先が詳しく書かれていなかったのですね」

「ああ、すまん」

古代守は、古代進に答えた。守の横に立っていたスターシャが、艦長席から降りて、ゆみの側に寄ってきた。

「スターシャさん」

「久しぶりね」

スターシャは、ゆみの頭を何度も何度も優しく撫でてくれた。

「あ、それとな。もう1人紹介しなくてはいけない新人がいる」

真田は、思い出したように皆に、第二艦橋の入り口を指さした。そこには、腰まで伸びた金色の長い髪の、20歳ぐらいの女性が立っていた。

「私の姪でな。澪という。真田澪だ」

真田が皆に紹介すると、真田澪と紹介された女性は挨拶した。

「あ、サー・・さん」

ゆみは、久しぶりに出会う姿に嬉しそうに真田澪のところに駆け寄ろうとしたが、スターシャに、ゆみの頭を優しく撫でながら、止められた。

「なんで・・」

だってサーシャさんでしょう?サーシャさん、とっても大きくなったよね。成長したよねとお母さんのスターシャに話したかったのだが、ゆみは、スターシャさんの顔を見て、そのことは口に出さずに黙っていた。

「で、兄さん・・いや、艦長。これからヤマトは地球救出のために地球に向かうのですか?」

古代進は、新艦長になった兄さんに訪ねた。

「いや、これからヤマトは暗黒星雲に向かう」

古代守は、そう言って真田の方を見た。

「地球に来ている宇宙人は、暗黒星雲の向こうにある母星から来ている宇宙人だ。彼らが、彼らの宇宙船の中に隠し持っている地球を爆破できると言っている爆弾なのだが、どうやらリモートコントロールで母星から制御されていて、地球の爆弾を破壊しただけでは地球まで爆破されてしまうらしい。そこで暗黒星雲にある彼らの母星のリモートコントロールのスイッチを破壊しなければならない」

古代守の説明を引き継ぐ形で、真田が説明した。

「それじゃ・・」

「ヤマトは、今から3時間後に暗黒星雲へ向けて飛び立つ!」

古代守は、艦長席から皆に向かって指示を出した。

「了解!」

皆は、新艦長に敬礼をすると、それぞれの担当部署に散った。なにしろ3時間後にヤマトは出航するのだ。それまでに出航準備を終わらせなければならなかった。

ヤマト再び発進!につづく

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