今井ゆみ X IMAIYUMI

多摩美術大学 絵画科日本画専攻 卒業。美大卒業後、広告イベント会社、看板、印刷会社などで勤務しながらMacによるデザイン技術を習得。現在、日本画出身の異色デザイナーとして、日本画家、グラフィック&WEBデザイナーなど多方面でアーティスト活動中。

小惑星イカルス

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「ね、お菓子じゃなく、おにぎり食べようか?」

ゆみのお母さんは、ここに避難してくる前、家で作ってきたおにぎりの入ったお弁当をバッグから取り出しながら、皆に言った。

「いただきます!」

「ゆみちゃんのお母さんのごはんって、お料理上手だから好き」

子どもたちは、お母さんの作ってきたお弁当を食べていた。皆、本当にどこか宇宙の星にピクニックか旅行に行くみたいに、とても楽しそうだった。

「ごはん食べ終わったら、毛布を敷いて寝ましょうね」

森雪と祥恵は、子どもたちに言った。

「もう寝るの?」

「まだ眠くない。まだまだ元気だぜ」

子どもたちは、祥恵に言った。

「ほら、こんな宇宙船の中で寝るなんて、めったに出来ないよ。宇宙船で寝るのも、また楽しいと思うぞ」

森雪が、子どもたちに言うと、

「確かにそうかも!俺、宇宙船で寝てみたい」

皆は、ごはんを食べ終わると、ベッド作りを始めた。

ベッド作りといっても、ここは狭い大統領専用機の機内なので、全員分の本格的なベッドがあるわけではない。皆は、床に敷いた毛布の上に、それぞれ寝転がって、枕と毛布をもらって、眠りにつくだけだ。

「なんか床が痛い」

「敷き布団、もうちょい厚い毛布だといいのに」

子どもたちは、文句を言いながら眠りについていた。

「この狭い宇宙船の中だから、床に寝ているだけだよね。ヤマトに着いたら、もっとちゃんとしたフカフカのベッドで寝れるよね?雪さん」

子どもたちの中で唯一ヤマトで寝たことのあるゆみが、皆に言った。

「そうね。ヤマトに行ったら、ちゃんとした個室で寝られるわよ」

森雪が答えた。

「あたし、ヤマトに到着したら、また雪さんと一緒のお部屋?」

「いいわよ。一緒のお部屋で寝ようか?」

「うん」

森雪が一緒に寝ようって言ってくれたので、ゆみは嬉しそうに頷いた。

そして、子どもたちが皆、眠りにつくと、ほかのヤマト乗組員たちも横になって眠りについた。コクピットの島大介が、後ろの乗客たちが寝やすいように、機内の明かりを暗くしてくれた。

一晩眠って、次の日の朝、皆が目覚めた。

夕べ食べてしまったので、もうお母さんの手づくり弁当は無い。森雪と佐渡先生で乗客たちに簡易的な歯ブラシと歯みがきを配ると、皆はそれで歯を磨いた。

歯を磨いている間に、雪たちは、大統領専用機の簡易キッチンに保管されてあった非常用のパンとおかずを出して、簡単な朝食タイムになった。

「宇宙船に乗っている間は、こういう食事なんだね」

食べ盛りの子どもたちは、少々食事が足りなさそうだった。

「ヤマトに到着するまでは我慢してね。ヤマトに着けば、ちゃんとした立派な食堂があるから、普通に美味しい食事が食べられるからね」

森雪は、皆に説明した。

「ヤマトに着いたら、また私たちが食堂のシェフやりますよ」

お父さんが、森雪に言った。

「ありがとう。助かります」

森雪が、お父さんに返事した。

「また、ゆみちゃんのお母さんのごはん食べられるんだ!」

子どもたちは、大喜びだった。

「へえ、お父さんって料理できるんだ?お父さんの料理って食べたこと無いかも」

前回のヤマト旅では、戦闘班長の仕事が忙しくて、食堂に行っている時間が無かった祥恵が、お父さんの話を聞いて言った。

「けっこう、お父さんは料理上手いんだぞ」

お父さんが、祥恵に答えた。

「まもなく小惑星イカルスです」

コクピットの島大介が、機内放送で皆に連絡した。

乗組員たちは、窓から外を覗くと、目の前に小さな惑星が見えた。おそらく前方のあれが、小惑星イカルスなのだろう。

大統領専用機が、小惑星イカルスに近づいていく。

「さて、どこに着陸しようかな・・」

ハンドルを握っている島大介は、隣の席でナビゲーション担当している相原につぶやいた。

「どこか着陸できそうなところ探しますね」

相原が、小惑星イカルスの地表を探っていると、小惑星イカルスの下端の地面がゆっくりと持ち上がり、そこの部分が開いて穴が現れた。おそらくそこが入り口、ハッチになっているのであろう。

「あそこから中に入れってことなのか?」

「みたいですね」

島大介は、ハンドルを握ると、微速前進で開いたハッチから、大統領専用機を中に入れた。中は、広い格納庫みたいになっていて、既に何隻かの飛行艇が停まっていた。

「あそこにするか」

島大介は、空いている場所を見つけて、大統領専用機をそこに停車させた。

「降りよう」

大統領専用機が停車すると、入り口のゲートを開いて、古代進たちがヤマト乗組員が格納庫の中に降りた。

「すげえ!なんかの基地みたい!」

子どもたちも、大統領専用機から小惑星イカルスに降り立つと、周りを見渡して騒いでいた。

「こらこら、何かあるといけないから、あなたたちはまだ降りたらだめよ」

森雪が、子どもたちに注意したが、そのときには既に子どもたちは皆、小惑星イカルスに降りてしまった後だった。

「本当に、なにかの秘密基地みたいだね」

あゆみたちも、周りを見渡しながら言った。

「でも、ここって、なんか見覚えある。前にも来たことある気がするんだけど」

ゆみは、周りを見渡しながら言った。

「確かに、なんか見覚えのある場所なんだけど」

祥恵も、ゆみの言った言葉に同意した。

なつかしのヤマトにつづく

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